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韓国 チョンセ

こんにちは!韓国在住日本人のケンです。

私が韓国に移住した際、苦労したことはいろいろありますが、一番大変だったのは家の問題だったかもしれません。なぜなら韓国には世界的にも非常に珍しいチョンセという家賃システムがあるからです。

チョンセで家を借りると、実は月々の家賃を払う必要がありません。そう聞くと「えっ、何でそんなことが可能なの?」とか「大家さんは損するんじゃない?」というような疑問がいろいろ湧いてくる方もいらっしゃるかと思います。

また、チョンセはすごく便利な面がある反面、実は非常に厄介なところもあります。そこで今回は、チョンセという韓国の変わった家賃システムについて徹底的に解説していきます。

チョンセとは?

チョンセとは韓国語で전세(チョンセ)と言い、漢字では伝貰と書きます。전세(チョンセ)とは何なのか簡単にお伝えすると、

  • 契約時に保証金と言うまとまったお金を大家さんに保証金として預けて、家に住んでいる間は月々の家賃を払う必要がなく、家を出る時には保証金の全額を返してもらえる韓国の家賃システム

です。もちろん、そう聞くと夢のようなシステムだと感じる人がいる一方で、頭の中にハテナマークがたくさん出てくる人もいるかと思いますので、もっと詳しく解説していきますね。

チョンセのシステムは何で可能なの?

そもそも何でチョンセというシステムが可能なのでしょうか。実は、韓国は元々金利が高かったので、大家さんは保証金から出る利息で収入を得ることができるといわけなんです。韓国でチョンセが広がったのは、1970年代以降だと言われていますが、1997年の通貨危機が起こるまで、韓国の金利は12~15%の間を推移してきました。これだけ金利が高いと、家賃をもらわなくても大家さんは十分にやっていけたんですね。

そして、韓国ではチョンセを使った独特の財テクの方法があります。それは、以下のサイクルを可能な限り繰り返すというやり方です。

  1. 家を購入する
  2. その家をチョンセで貸し出す
  3. 入ってきた保証金を元に新しい家を購入する

この方法を使うと、最低限の資金を確保することができれば、いくらでも不動産を所有することができます。私の知っている人の中にも「アパートをいくつも所有している」という話を聞いて、「あの立場の人がなんでそこまでできるのかなか?」と不思議に思っていた時がありましたが、チョンセのシステムを利用したら可能ですよね。

そして、韓国では、不動産価格が基本的には右肩上がりで上がっていったので、不動産をたくさん持っている人はさらにお金持ちになっていったんです。

チョンセの保証金の相場は?

では、チョンセで家を借りる時、保証金はどれくらい払えば良いのでしょうか。これは基本的には、借りようとしている家の売買価格の6割ぐらいが相場だと言われています。安ければ売買価格の50%、高ければ70%ぐらいになります。

また、チョンセの保証金の相場は、家の大きさや地域によっても違いますが、ファイナンシャルニュースのサイトによると、ソウルのアパート(日本のマンションにあたる家)では、

  • 2022年6月:6億7792万ウォン(約7,000万円)
  • 2023年1月:6億1031万ウォン(約6,200万円)

となっています。そして30㎡以下、いわゆるワンルームの場合、連合ニュースでは、2020年6月のソウルの平均のチョンセは、1億6,883万ウォン(約1,700万円)ぐらいとなっています。

ちなみに、私が住んでいるソウルの恩平区では、ソウルの中では比較的、チョンセの相場も安いエリアになっていて、アパート(マンション)ではなく、ビラという日本のアパートみたいな家を探せば、1~2億ウォン(1,000~2,000万円)ぐらいの保証金でチョンセの家を見つけることも可能です。

他にも、韓国の昔ながらのレンガ造りの家でも比較的、チョンセの金額は安くなってきます。

ただ、江南や龍山だったら、とても高くて住めません(-_-;)

あと、韓国の賃貸システムでは2年で契約を更新するのが一般的ですが、契約更新の際に大家さんが保証金の額を上げてくるケースもよくあります。その時は、追加分をさらに預けないといけないので、その点でも注意が必要です。

特に、不動産価格が上がり続けている時は、保証金の金額も上がっていくので、私の友達の中にも頭を悩ませている人がいました。

チョンセの保証金はどうやって確保する?

チョンセの保証金は、高額なため、当然、若い夫婦とかだと、現金で準備することは基本的に難しいですよね。ですから、韓国では親御さんがチョンセの保証金を貸してあげることも多いです。

また、それとは別に、国の支援制度を利用して、銀行を通じてお金を借りるという方法もあります。我が家も後述するウォルせという家賃制度を使って家を借りる際、保証金を準備したのですが、その時は、保証金の3割を自分で準備して、残りは銀行から借りるという手法と取りました。

チョンセの保証金は本当に返ってくるの?

ただ、ここで一つの疑問が湧いてくる方もいらっしゃるかと思います。それは、「保証金は最後、本当に戻ってくるのか?」という問題です。もちろん、必ず返ってくるとお伝えしたいところなのですが、実は、時々、返ってこない場合もあるんですね。

しかも連合ニュースの発表しているデータによると、チョンセの保証金が戻ってこないという事故が、

  • 2019年:1,630件
  • 2020年:2,408件
  • 2021年:2,799件
  • 2022年:5,443件

というように年々上昇しているというのが現状です。チョンセの保証金が戻ってこない理由としては、

  • 元々の保証金の金額が適正ではなかった
  • 詐欺案件だった
  • 大家さんが保証金の運用に失敗した

などの点が挙げられます。ですから、韓国でチョンセを利用する際は、契約内容をしっかり吟味するこてゃもちろんのこと、チョンセの保証金に対する保険に加入するなどの対策を取っていく必要があるんですね。

不動産バブル崩壊によるチョンセへの影響

韓国では2022年の前半ぐらいまでは、不動産価格がどんどん上がっていったので、チョンセの保証金もグングン上がっていきいました。しかし、2022年の後半から不動産バブルが崩壊して、不動産価格が一気に下がり始めたんですね。

ただ、保証金は一度契約すると、そんなに簡単には下がらないので、不動産価格より保証金の方が高いという逆転現象が起こったりもしています。そうなると、もしチョンセで家を借りている人が家を出るこtになったら、大家さんはその時の不動産価格よりも高い保証金を返さないといけなくなってしまいます。その結果、保証金を返せないトラブルがさらに増えてしまっているというわけなんです。

そして、さらに悲惨な状況に陥ったのは、チョンセを利用して、投資として、いくつものアパートを購入していたような人です。こういったケースの場合、不動産価格が上がり続けている場合は問題ないのですが、ひとたび、不動産価格が下がり始めると、すべてが逆回転を始めて地獄を見るようになります。やっぱり投資は、様々なリスクを想定しないと怖いですよね…

ウォルセとは?

その一方で、韓国には、チョンセとは別に、ウォルセというシステムがあります。ウォルセは、韓国語で월세と書きます。ウォルセでも、保証金を支払いますが、チョンセに比べると、保証金の金額は安くなります。その代わり、月々の家賃が発生するという賃貸システムです。

ちなみに厳密に言うと、家賃を払っても、保証金を少しでも預ける場合は、パンチョンセ(반전세)と言います。半分、チョンセという意味です。ただ、一般的には、パンチョンセもウォルセの中に含めて呼ぶことが多いです。

ウォルセの場合、家の大きさや地域によっても保証金の金額は変わりますし、さらに預ける保証金の金額が下がると、その分、家賃が上がったりと、いろいろな要素が絡むので、相場の金額は言いづらいところがあります。ただ、例えて言うと、1億ウォン(約万円)ぐらいの保証金を払って、月20~30万ウォン(2~3万円)の家賃を払うようなイメージです。

保証金を納める分、日本に比べたら、月額の家賃の費用は安いくなるので、韓国の人から見たら、「高い!」というイメージなってしまうところがあります。実は、我が家は日本では12万円以上の家賃の家に住んでいました。しかし、韓国に住んでいると、私の妻は、家賃が30万ウォンなんてあり得ないという感覚になってしまっています^^;

また、ウォルセは、保証金が安いといっても、普通の家で600万~700万円ぐらいのお金が必要です。我が家が韓国に移住した頃は、そういったまとまったお金がなく、韓国での信用もなくて銀行からお金を借りることもできませんでした。だから、半地下の家に住まざるを得なかったんですね。

韓国のチョンセやウォルセは、一度、契約が出来れば、あとは楽なのですが、まとまったお金を準備出来ない人には、非常に厳しいシステムでもあるのです。

チョンセとウォルセの割合はどれくらい?

韓国のチョンセは以前は盛んに行われていましたが、韓国の金利が以前より下がる中で、状況は変わりつつあります。利子が下がると、当然、チョンセをしても大家さんは儲からなくなってしまいます。

毎日経済のサイトによると、チョンセとウォルセの割合は、以下のように推移しています。

2019年 2020年 2021年 2022年
チョンセ 59.0% 58.3% 54.0% 48.4%
ウォルセ 41.0% 41.7% 46.0% 51.6%

直近では、賃貸物件の50%を切っているという状況なんですね。実際、我が家でも、以前、不動産屋で物件を探していた際、

「チョンセを探しているんですけど」

と聞いても、

「チョンセはね~」

と渋い返事が返ってくることもしばしばでした。

ソウルの賃貸物件事情

今回、賃貸を扱っている不動産屋を回って初めて気が付いたのですが、ソウルは、不動産屋が至る所にあるんですね

ちなみに韓国の不動産業者を見ていると、2種類の名前がありますが、違いも含めてご紹介すると以下のようになります。

  • 공인중개사(公認仲介士):公認仲介士の資格を持った人が行っているところ
  • 부동산(不動産):公認仲介士の資格のない人が、公認仲介士の人から名義を借りて業務を行なっているところ

また、韓国の場合、日本のように、エイブルとかレオパレスのような、賃貸を扱うチェーン店がないようです。ほとんどの不動産屋は個人でやっています。だから、不動産屋を訪ねても、半分は閉まっていました。おそらく、誰かを家に案内したら、お店を閉めなければならないからだと思います^^; チェーン店ではないので、不動産屋ごとに出て来る物件が全然違います。

あと、韓国の不動産屋は、個人かつ年配の方がされているケースが多いので、ネットではなかなか不動産の情報が公開されていません。だから、韓国で家を見つける時は、不動産屋を回りまくるアナログ的な作戦がどうしても必要となってきます。

以前、我が家でも賃貸の物件を探していた時も、

  • 温厚なおばさん
  • ちょっと怖そうなおじさん
  • とてもハートが熱いおじいさん
  • キャリアウーマン風のおばさん

など、なかなか皆さん個性豊かでしたよ^^

まとめ

韓国のチョンセというシステムは、月々の家賃をタダにできるという点では非常にメリットが大きいと言えます。しかし、その一方で、高額な保証金を準備するのは難しいというデメリットがありますし、保証金が返ってこない場合もあるというリスクもあります。

ですから、もし、韓国でチョンセを利用する場合は、そういったデメリットやリスクを考慮しつつ、慎重に契約を進めていく必要があります。また、チョンセをするだけの保証金が準備できない場合は、ウォルセを利用する方法もあるので、それぞれのメリットやデメリットを考慮しながら、最終的に判断していくような感じになります。

もちろん、私も保証金が返ってこないリスクを最小限に抑える方法を見つけて、チョンセに移り住み、そのメリットを思う存分に享受していきたいと思っているところです^^

韓国の住宅事情の話は、日本との違いも大きいですし、いろいろ比べてみたら、いろいろと面白いですよ。

韓国のリアルな賃貸&住宅事情シリーズ

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